最高裁判所第一小法廷 昭和34年(あ)1880号 判決 1960年3月17日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人長崎祐三の上告趣意は、違憲をいうが、憲法三七条第一項にいわゆる公平な裁判所の裁判とは、所論のごときものをいうものでないことは、当裁判所大法廷のしばしば判示したところであるから、採るを得ない。また、同一人を蔵匿し、かつ、隠避させたのは包括一罪であり、同一事件であっても、数人の犯人を一個の行為で蔵匿又は隠避させたときは、一個の行為にして数個の罪名に触れるものと見るべきである。されば、原判決には所論の違法は認められない。
よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)